税務 ~令和元年度~

  NISAについて                                            令和元年12月20日

 令和元年12月12日、与党より令和2年度税制改正大綱が公表されました。
その大綱の「令和2年度税制改正の基本的な考え方」にて「人生100年時代を迎え、高齢期における就労の拡大や働き方の多様化に対応し、私的年金の加入可能年齢等の引き上げや、中小企業への企業年金の普及・拡大等に取り組む。         成長資金の供給を促しつつ、家計の安定的な資産形成を促進する観点から、NISA制度の全体を見直す中でつみたてNISAを延長し、少額からの積立・分散投資を促進していく」と記載がありました。ところでここに記載されたNISAについてどこまでご存じでしょうか?
それではNISAとは何かを見直してみましょう。
NISAとはNippon Individual Savings Accountの略称です。特徴は「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる制度です。
簡潔にいえば金融商品からの利益に対して税金がかからない制度です。

NISAは以下の3種類から成り立っています。
①NISA
②ジュニアNISA
③つみたてNISA

それぞれの特徴をみていきましょう。
①NISA:2014年1月に開始
非課税対象は株式・投資信託等の配当金・分配金や譲渡益
非課税投資枠が新規投資額で毎年120万円が上限(最大600万円)
非課税期間は最長5年間
投資可能期間は2014年~2023年

②ジュニアNISA:2016年度から開始
未成年者(0~19歳)を対象
非課税対象は株式・投資信託等の配当・譲渡益等
非課税投資枠が新規投資額で毎年80万円が上限
非課税期間は最長5年間
投資可能期間は2016年~2023年
運用管理者が必要

③つみたてNISA:2018年1月から開始
一定の投資信託への投資から得られる分配金や譲渡益
非課税投資枠は新規投資額で毎年40万円が上限(20年間で最大800万円)
非課税期間は最長20年間
投資可能期間は2018年~2037年
購入可能な商品は、長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託に限定

[注意点]
NISAは、他の口座(一般口座や特定口座)で発生した譲渡益や配当金等との損益通算はできません。3種類を比べると特徴の違いがあります。与党が推進している、また今後さらに推進していこうとしているNISAの活用を一度、ご本人のみならず子供を含めた家族みんなで考え、金融商品の有効活用を図ってみてはいかがでしょうか?


参考:令和2年度税制改正大綱

  :NISA(金融庁HP)                                           

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 年末調整に欠かせない「収入」と「所得」との違い                            令和元年12月3日

 平成30年分の年末調整から複雑化した提出書類。その中に頻繁に出てくる「収入」と「所得」、このよく似た二つのキーワードを理解しないで年末調整に係る各種申告書を正しく勤務先に提出することはできません。
そこで、今回はこの二つの言葉の意味を理解しましょう。個人の年間の儲けに対して課せられる所得税は、所得の種類に応じて10種類に分類されそれぞれ異なる税金計算が設定されており独特の計算過程をたどります。
ここが会社等の法人の儲けに対して課せられる法人税の計算とは根本的に異なる点です。その10種類の所得の内、今回は、給与所得、雑所得(公的年金)について解説したいと思います。なお、税金を考える場合以下の思考を常に頭に置きましょう


★ 収入―必要経費=所得(※)

☆給与所得
 サラリーマンが受取る給料(ボーナス含む)の場合、年収〇〇円なんて言いますが、給与明細の支給総額が「収入」となります(非課税通勤手当を除く)。そしてこの毎月の支給総額の年間合計分が「収入」となります。
では、給与の場合※の必要経費は無いのかと思われがちですが、実は給与所得にだけ認められている給与所得控除というのがここでいう必要経費です。サラリーマンには必要経費は認められないといわれる場合がありますがそんなことはありません。給与所得控除こそが、サラリーマンに認められる必要経費です。但し、この給与所得控除は原則一律で決められており収入に応じて給与所得控除も自動的に決定されます。給与収入が103万円の方の所得が38万円となるのはこの給与所得控除の計算結果の為です。以下、国税庁のHPを参照願います。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm

☆雑所得(公的年金)
 
国等から支給される公的年金の場合にはどうなるでしょうか。例えば厚生年金の給付を受けている親を扶養家族にできるか否かを考えた場合などに検討します。厚生年金の場合、偶数月の15日に支給されますが、この場合の「収入」は実際に預金通帳に入金された金額ではありません。最近では年金から介護保険料や所得税更には住民税が控除されるケースが少なくありませんが、年金の場合の「収入」は、年金振込通知書の年金支給額を一年間(6回分)合計した金額です。
つまり諸控除後の年金受取額ではなく、控除される前の金額を指します。そしてこの場合の必要経費(※)は無いのでしょうか。あります。年金の所得を計算するときだけに使う公的年金控除というのが年金支払額に応じて決められています。以下、国税庁のHPを参照願います。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

いかがでしょうか。今回は2種類の所得について収入と所得との違いを解説しましたが、他の所得はこれらとは異なる所得計算をしますのでその場合には、税理士や税務署にてご相談ください。なお、この計算構造は年末調整だけではなく、年明けの確定申告でも同じ考え方をしますのでご参考に願えたら幸いです。
よいお年をお迎えくださいませ☆彡


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 災害により被害を受けた場合の税務手続き等について                         令和元年10月10日

風や地震などの災害により被害を受けた場合、申告の延長や納税猶予のほか以下のような特例を受けることが出来ます。

◎申告・納付などの期限の延長
災害等の理由により申告・納付などを期限までに出来ないときは、その理由のやんだ日から2ヶ月以内でその期限の延長が可能。

◎納税の猶予
災害等により財産に相当の損失を受けたときは、所轄税務署長に申請することにより納税の猶予を受けることが可能。

◎予定納税の減額・源泉徴収の徴収猶予
災害等が発生した後に納期限の到来する予定納税や給与所得者の所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額などについて、確定申告の前にその減額又は徴収猶予などを受けることが可能。

◎確定申告:所得税の全部または一部の軽減
災害により住宅や家財などに損害を受けた場合は、確定申告を行うことで、所得税法による雑損控除または災害減免法による所得税の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことにより、所得税の全部または一部を軽減することが可能。

◎(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用期間・重複適用の特例
災害によって被害を受けたことにより居住の用に供することが出来なくなった住宅用家屋について、居住の用に供することが出来なくなった年以後の残りの適用年においても、引き続き、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受けることが可能。また、被災者生活再建支援法が適用された市町村の区域内に所在する住宅用家屋を、その災害により居住の用に供することが出来なくなった場合には、その従前家屋に係る(特定増改築等)住宅借入金等特別控除と一定期間内に新たに住宅用家屋の再取得等をした場合の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除を重複して適用することが可能。

◎住宅取得の際の贈与税に関する特例措置
住宅取得の際の贈与税の特例について、災害によって住宅用の家屋に被害を受けた場合には、その適用要件(居住要件や取得期限、居住期限)が緩和され、その特例の適用を受けることが可能。

◎財形住宅(年金)貯蓄やジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)の特例
財形住宅(年金)貯蓄やジュニアNISAを行っている方が居住する家屋で、その方またはその方と生計を一にする親族の方が所有するものが災害等により全半壊などの被害を受けた場合には、利子や所得税等の非課税などの特例あり。

◎災害損失欠損金の繰戻しによる法人税額の還付
災害のあった日から1年以内に終了する事業年度において、災害損失欠損金額がある場合には、その事業年度開始の日から1年(青色申告書の場合には2年)以内に開始した事業年度の法人税額のうち災害損失欠損金額に対応する部分の金額について還付を請求することが可能。

◎災害損失金額がある場合の仮決算の中間申告による所得税額の還付
災害のあった日から6月以内に終了する中間期間において、災害損失金額がある場合には、仮決算の中間申告において、控除しきれなかった所得税額の還付を受けることが可能。

◎被災代替資産等の特別償却
特定非常災害として指定された災害については、発生日から同日の翌日以後5年を経過する日までの期間内に、被災代替資産等の取得等をして事業の用に供した場合には、特別償却をすることが可能。

◎災害等が生じたことによる消費税簡易課税制度の適用(不適用)に関する特例
災害等が生じたことにより被害を受けた事業者が、当該被害を受けたことにより、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、または受けることの必要がなくなった場合には、税務署長の承認を受けることにより、当該災害等の生じた日の属する課税期間から、簡易課税制度の適用を受けること、またはやめることが可能。

以上のほか、税制上の措置等ありますので、状況が落ち着いてから、当事務所もしくは最寄りの税務署へご相談いただければと思います。

詳細は国税庁HP                                        

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 消費税改正に伴う事業者の注意事項                                 令和元年9月27日

令和1年10月1日より消費税率が8%から10%に引き上げられます。
平成元年に我が国でも消費税が導入されてからこれまでの約30年余りの間に2回消費税率の引き上げが行われました。平成9年4月1日に3%から5%に引き上げが行われ、平成26年4月1日に5%から8%に引き上げが行われました。
今回の消費税率引き上げについては軽減税率制度の導入が、これまでの2回行われた消費税率の引き上げと大きく異なるところです。

【適用される消費税率の経理処理に注意!】
今回の消費税率の引き上げに伴い取引に適用される消費税率が標準税率10%、軽減税率8%、旧税率8%等の複数の税率が経理処理をするうえで出てくることがあります。ニュースでも話題になっていた飲食物をテイクアウトした場合等には軽減税率8%が適用され、一定の要件を満たすリース取引を行った場合には経過措置の旧税率8%が適用されます。軽減税率と経過措置に適用される旧税率は同じ8%ですが、国に納付する消費税の割合と地方自治体に納付する消費税の割合とが異なるため、事業者の方は経理処理を行う上で軽減税率の8%なのか旧税率の8%なのかを理解して経理していただく必要があります。ちなみに、軽減税率8%の内訳は国が6.24%・地方が1.76%で、旧税率8%の内訳は国が6.3%・地方が1.7%です。
参考国税庁HP

【軽減税率が適用される物品を販売する際の請求書等の記載事項に注意!】
今回の複数税率の導入にあたり事業者が令和1年10月以降に売り上げた請求書を発行する場合には「区分記載請求書」の発行をすることが必要となります。ただし、食品等の軽減税率品目を扱わない事業者については、現在発行されている請求書と同様のフォームが「区分記載請求書」として取り扱われるため、請求書のフォームを変える必要はありません。
「区分記載請求書」とは以下の事項を記載する必要があります。
(現行の請求書等の記載事項)
・請求書発行者の氏名または名称
・取引年月日
・取引内容
・対価の額
・書類の交付を受ける者の氏名または名称(小売業、飲食業等を営む事業者が発行する請求書等については記載を省略することができます)
(区分記載請求書等の記載事項)
上記の請求書等の記載事項に加えて以下の事項を記載する必要があります。
①軽減税率の対象品目である旨
②税率ごとに合計した対価の額
参考国税庁HP

【仕入先等から発行された請求書に軽減税率対象の記載がない場合はどうするのか?】
仕入先等から受け取った請求書等に上記した「①軽減税率の対象品目である旨」「②税率ごとに合計した対価の額」が記載されていない場合には、請求書等を受け取った事業者側で消費税の仕入税額控除を行うことが原則としてできません。ただし、令和1年10月1日から令和5年9月30日までの間は区分記載請求書等の必要な記載事項が無い請求書等を受け取った場合であっても、受け取った事業者側で請求書等にこれらの事項を追記することで仕入税額控除を行うことができます。
参考政府広報

来月からいよいよ消費税率が8%から10%に増税され、されに軽減税率の導入により我が国の消費税制度に複数税率が採用されることとなります。軽減税率の適用についてはニュース等でも取り上げられておりましたが、軽減税率が適用されるかの個別具体的な判断は慎重に行うことが必要と考えられます。
消費税軽減税率電話相談センター                

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名古屋税理士会所属