税務~平成28年度~

「平成29年度税制改正大綱」が発表されました              平成28年12月26日号 

   平成28年12月22日に政府から来年度の税制の方向性を示唆する「税制改正大綱」が発表されました。

順調にいけば、平成29年初から始まる通常国会で審議され、3月末までには税制改正法案が可決成立していく

見通しです。

     ここでは、主な重要な改正項目を紹介します。


1.配偶者控除および配偶者特別控除の見直し

2.法人税率軽減の特例を延長

3.競争力強化のための研究開発税制の拡充

4.賃上げを促すための所得拡大促進税制の拡充

5.設備投資促進税制の拡充と整備

6.非上場株式の評価方法の見直し

7.事業承継税制の要件緩和

8.国外財産に対する相続税・贈与税の課税強化

9.ビール系飲料の税率の一本化、エコカー減税の見直し


 以上の中でとくに、企業経営者の皆様にとって、「5.非上場株式の評価方法の見直し」の影響が気になる

ところです。自社株評価の仕方がこれまでと変わるという点です。
 

 株式評価においては、いろいろな要素を複合的に加味して評価しますが、一株当たり配当金、一株当たり利益、

一株当たり純資産などもその一つです。従来は、この中の一株当たり利益の要素の比重が高かったですが、これを

減じる方向の改正が予定されています。

 つまり、資産保有が潤沢な会社ほど、株価アップの影響が出ると予想されます。事業承継対策において、当初の

計画の見直しを迫られる可能性も考えられますのでご注意下さい。詳細は、わかり次第、当ホームページでも紹介して

いきますのでご期待ください。

 もう少し詳しくお知りになりたい方は、財務省HPにアップされた「概要」をごらん下さい。


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マイナス金利と住宅ローンそして住宅借入金等特別控除について         平成28年7月4日号

マイナス金利と住宅ローンそして住宅借入金等特別控除


その〇〇金庫の住宅ローン担当者は開口一番、「てっきり『他行に借り換える』とおっしゃるかと思っていました・・」と言った。
5月半ばの土曜日の会話である。住宅ローン金利が最低水準にまで下がり、借り換える人が急増していることはニュース報道で知っていたが、
忙しさに取り紛れて自分の住宅ローンについては思考停止しており、ローンの残高や適用金利についてもぼんやりとしか把握していなかった。
また、当初住宅ローンを組んだ〇〇J銀行から今の○○金庫へ10年程前に乗り換えた時の煩わしさが蘇ってきてとても平日に休みを取って
金融機関に行く気にはなれなかった。


そこへあの○○J銀行から1通のDMが届いた。

住宅ローンの変動金利0.5*~、10年固定1.**~。さすがにここまで金利が下がるとメンドクサイなどと云っていられない。
ではどうするか・・・。銀行の住宅ローン担当者にはマニュアルが予め渡されていて、住宅ローンを他行に換えたいという申出が融資先から
あがった場合、それを食い止める為に一定レンジの金利引き下げ権限が与えられていることは先の○○J銀行の担当者との会話から知って
いたので今回も○○金庫の担当者も同様であろうと推察できた。
私の住宅ローンは現行、年利1.65%、残りの返済期間11年数か月であったが、これを様々な条件と交渉それに○○J銀行のDMを見せながら
10年固定金利で、1.651.050.990.94% まで引き下げることができた。金融機関も換えていないので担保の付け替え、保証協会への
保証料の精算と再設定等の手数料もかからずに返済期間を約1年短くできた。


自己に不利な情報を金融機関は融資先にわざわざ教えてはくれません。こちらから足を運びましょう・・・。


20161月、日本銀行が日本の金融政策史上初めて、マイナス金利の導入を決定した。実際に日銀がマイナス金利を適用する範囲は銀行が
日銀に預け入れしている当座預金のごく一部であり、現時点での影響範囲は非常に限られているが、市場は大きく反応しており、2016
29日に10年もの国債の金利がはじめて0%を下回り、マイナス金利をつけた。
これはつまり10年もの国債を購入し、10年後満期になり、お金を受け取る際、マイナス金利分、お金が減っている事を意味する。
この施策は実は住宅ローンにも大きく影響する。なぜなら各金融機関が中長期の住宅ローン金利を決める際、ベンチマークとしている金利が
10年もの国債だからだ。つまりこの金利が下がれば住宅ローン金利は下がる余地があるという事だろう。
マイナス金利によって、我々が銀行に預けている預金金利が下がるというデメリットがある一方で、住宅の購入を検討している方は、
住宅ローン金利が下がるというメリットを享受する事ができる


マイナス金利と住宅ローン金利の今後の動き
ではマイナス金利状況下で住宅ローン金利は今度どのように推移していくのか?
まず現時点で言えるのは、日銀が当座預金のごく一部にマイナス金利を設定した事によって、住宅ローン金利までマイナスになる可能性は
ないという点だ

日銀がマイナス金利を発表する前の10年もの国債の金利は0.2%前後、対して10年固定の住宅ローン金利は概ね0.81%前後だった。
中長期の住宅ローン金利は10年もの国債の金利をベンチマークに、各銀行が必要となる経費や利益を上乗せした上で設定している。
10年もの国債の金利がたとえ0%前後で推移したとしても、住宅ローン金利の下落幅は最大でも0.2%に収まる事が予想される。
(※実際には下落幅はもっと小さくなるが・・・)
もし今後住宅ローン金利がさらに下がる可能性があるとしたら、日銀がマイナス金利の幅、もしくは対象をさらに拡大した場合だが、
今回の政策の効果を見極めるため、数カ月間は様子を見る事になるはずだ。またマイナス金利は銀行経営を圧迫する等、副作用が多い施策で
ある事から、容易に追加引き下げを行うとは思えない。


住宅借入金等特別控除

一方、金融機関などから住宅ローンを組んで年末にローン残高が残っている場合、一定の条件下で年末ローン残高の一定割合を所得税
(住民税)から税額控除できる
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1213.htm

最近の税額控除の割合は、期末ローン残高の1%で推移しているため、もし住宅ローンの金利が0.9%といった水準であるならば、
(支払利息)-(税額控除)=0.91.0=-0.1(%)となり、実質マイナス金利0.1%が実現されることとなる。
つまり、借入金をすることによって金利が受け取れるというわけだ。


法人税法上の寄付金の取扱いを紹介します                     平成28年5月号

◎ 法人が支出した寄付金について、法人税法上は原則として損金不算入とされています。
損金不算入とされる理由としては、寄附金は事業に関連するものではなく、多分に利益処分的な性格が強いことが寄附金課税の論拠として主張されています。ま た、無制限に損金算入を認めると、それに見合う法人税が減少し、寄附金の一部を国が負担する結果となることもあげられます。

【法人税法上の寄付金の主な区分】
①国及び地方公共団体に対する寄付金または指定寄付金

  • 国公立の学校に対する寄付
  • 災害救助法の規定の適用を受ける地域の被災者のための義援金
  • 赤い羽根共同募金など
②特定公益増進法人等に対する寄付金
  • 認定NPO法人に対する寄付金
  • 海外で発生した災害に対する寄付金など
③その他の寄付金
  • 神社の社殿修復のための寄付
  • 町内会の夏祭り費用の寄付
  • 政治団体に対する寄付など

【法人税法上の損金算入額】
①国及び地方公共団体に対する寄付金または指定寄付金
 その事業年度に支出した寄付金の全額が課税所得の計算上損金に算入されます。
②特定公益増進法人等に対する寄付金
 その事業年度に支出した寄付金の額と特別損金算入額〔注1〕とのいずれか少ない金額が課税所得の計算上損金の額に算入されます。
 〔注1〕(資本金等の額×当期の月数/12×3.75/1000+所得の金額×6.25/100)×1/2
③その他の寄付金
 一般の寄付金の損金算入限度額〔注2〕に相当する金額までが課税所得の計算上損金の額に算入されます。
 〔注2〕(資本金等の額×当期の月数/12×2.5/1000+所得の金額×2.5/100)×1/2

(法人が支出した寄付金の損金算入:国税庁HPより)
 https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/koho/kurashi/html/04_3.htm 
 

【熊本地震に関する寄付金の取り扱い】
 平成28年4月14日・16日に熊本県を中心とする大規模な地震が発生しました。
  この災害に対する寄付金で法人が災害救助法第2条の規定に基づき都道府県知事が救助を実施する区域として指定した区域の被災者のための義援金等の募集を行 う募金団体(日本赤十字社、新聞・放送等の報道機関等)に対して拠出した義援金等については、その義援金等が最終的に義援金分配委員会等に対して拠出され ることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときには、上記①の寄付金に該当し課税所得の計算上、支出額の全額が損金の額に算入されます。

(災害救助法の規定の適用を受ける地域の被災者のための義援金等:国税庁HPより)
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/020404-2/01/9_4_6.htm

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平成28年度税制改正大綱のポイント                       平成28年2月号

平成27年12月24日に平成28年度税制改正大綱が閣議決定されました。
以下に税目別に要点をお知らせいたします。
 
【個人所得課税】
 ○空き家を売却した際の譲渡所得の特別控除の導入
・相続により生じた空き家であって旧耐震基準しか満たしていないものに関し、相続人が必要な耐震改修又は除却を行った上で家屋又は土地を売却した場合の譲渡所得について特別控除(3,000万円)を導入。
 ○三世代同居に対応した住宅リフォームに係る税額控除制度の導入
・借入金を利用してリフォームを行った場合や自己資金でリフォームを行った場合の税額控除制度を導入。
 ○スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)の導入
・検診、予防接種等を受けている個人を対象として、スイッチOTC医薬品の購入費用(年間 1.2万円を超える部分の金額)についてセルフメディケーション推進のための所得控除制度を導入。
 ○個人の寄附税制の包括的な見直し
・国立大学法人等の行う学生の修学支援事業のために充てられる個人寄附について税額控除制度を導入。
・公益法人等について、個人寄附に係る税額控除の対象となるために必要な寄附者数の要件を事業規模に応じて緩和。
 
【資産課税】
 ○農地保有に係る課税の強化・軽減
・農業委員会から農地中間管理機構との協議の勧告を受けた遊休農地について、通常の農地より固定資産税の評価額を引上げ。
・所有する全農地を農地中間管理機構に10年以上貸し付けた場合は、固定資産税等の課税標準を最初の3年間価格の2分の1等とする特例措置を創設。
 ○機械及び装置の固定資産税の特例措置の創設
・中小企業の生産性向上に関する法律(仮称)の制定を前提に、中小企業者等が同法の施行の日から平成30年度末までに一定の機械及び装置の取得をした場合には固定資産税の課税標準を最初の3年間価格の2分の1とする特例措置を創設。
 
【法人課税】
 ○成長志向の法人税改革
・法人税率の引下げ等
平成27年度    法人税率 23.9%
                法人事業税所得割※ 6.0%  (参考)国・地方の法人実効税率 32.11%
 ⇒平成28・29年度 法人税率 23.4%
               法人事業税所得割  3.6%  (参考)国・地方の法人実効税率 29.97%
  平成30年度      法人税率 23.2%
               法人事業税所得割  3.6%  (参考)国・地方の法人実効税率 29.74%
    ※平成28年度までは地方法人特別税を含む
・課税ベースの拡大等:
- 租税特別措置の見直し(後掲)
- 減価償却の見直し(建物附属設備・構築物の償却方法を定額法に一本化)
- 欠損金繰越控除の更なる見直し(大法人の控除限度 平成28年度:所得の65%⇒60%、平成29年度:所得の50%⇒55%)
- 法人事業税の外形標準課税の更なる拡大(現行:3/8⇒平成28年度:5/8) 
 ○租税特別措置の見直し
・生産性向上設備投資促進税制の縮減・廃止(現行:即時償却等⇒平成28年度:特別償却率50%等⇒平成29年度:廃止)
・環境関連投資促進税制の見直し(売電用の太陽光発電設備の除外等)
・雇用促進税制の見直し(対象地域・対象雇用者の限定) 等
 ○地方法人課税の偏在是正(平成29年度~)
・法人住民税法人税割の税率の引下げ及び地方法人税の税率の引上げ
・地方法人特別税及び地方法人特別譲与税の廃止
・法人事業税交付金の創設
 ○地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の創設
・地域再生法の改正を前提に、地方公共団体の行う同法の認定計画に記載された一定の事業に関連する寄附金を支出した場合の税額控除を創設
 ○復興支援のための税制上の措置
・復興産業集積区域において機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度について、一定の見直しを行いつつ、適用期限を5年延長 等

【消費課税】
 ○消費税の軽減税率制度の導入
・平成29年4月から軽減税率制度を導入。
・対象品目は、①酒類及び外食を除く飲食料品、②新聞の定期購読料・軽減税率は8%(国分:6.24%、地方分:1.76%)
・平成33年4月から適格請求書等保存方式を導入。それまでの間は簡素な方法とするとともに、税額計算の特例を設ける。
 ○外国人旅行者向け消費税免税制度の拡充
・免税販売の対象となる一般物品の購入下限額を引下げ(1日1店舗当たり「10,000円超」→「5,000円以上」)。
 ○車体課税の見直し
・平成29年4月の消費税率10%への引上げ時に自動車取得税を廃止し、自動車税及び軽自動車税において、自動車取得税のグリーン化機能を維持・強化する環境性能割をそれぞれ導入。
・平成28年度に適用される自動車税及び軽自動車税におけるグリーン化特例(軽課)の見直し・延長。

【国際課税】
 ○日台民間租税取決め
・「日台民間租税取決め」(平成27年11月に署名)に規定された内容(日台間で支払われた配当等の源泉地における課税の税率の10%への引下げ等)を日本で実施するための国内法を整備。
 ○多国籍企業情報の報告制度等の構築
 
【納税環境整備】
 ○国税のクレジットカード納付制度の創設
 ○加算税制度の見直し
・短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税の加重措置(無申告加算税・重加算税を10%加算)等を導入。
 
【関税】
 ○暫定税率の適用期限の延長
 ○輸出入申告官署の自由化等
・AEO(認定事業者)について輸出入申告官署を自由化するとともに、通関業制度の見直しを行う。

なお、詳細については、「財務省ホームページ(税制)」でご確認いただけます。
     http://www.mof.go.jp/tax_policy/

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