税務~平成30年度~

 来年の平成30年分所得税確定申告の電子申告手順の簡素化                         平成30年12月6日

 1.電子申告(e-Tax)利用の簡便化
  国税庁の従来の電子申告(e-Tax)手順では、マイナンバーカードの取得、e-Taxの開始届出書の提出、e-TaxID

 パスワードの受領の後、申告書データを作成・送信するという手順でしたが、来年1月からは、これを簡素化し以
 下2つの方式とするようです。

 ①マイナンバーカード方式
 
これは、国民全員に通知されたマイナンバー通知カードと、一定サイズの写真とを市町村に提出することによって
 取得できるマイナンバーカードさえ入手すれば、
e-Taxの開始届出書の提出とe-TaxID
・パスワードの受領手続き
 を省略していきなり申告等のデータを作成・送信できるという制度です。私も数年前に取得しましたが、特別手間
 がかかるわけではないので、未だ取得されていない方は取得することをお勧めします。なぜなら今後、確定申告に
 必要な各種控除情報(社会保険料控除、保険料控除、医療費控除など)が各行政機関をまたいでマイナポータルと
 いう納税者ごとの情報ボックスに集約される予定だからであり、この情報を納税者が利用すれば早くて正確な申告
 書を自ら作成することができるからです。マイナポータルを利用するにはマイナンバーカードの取得が必須です。

 
 ②ID・パスワード方式
 
これは、何らかの事情でマイナンバーカードを取得していない納税者が、税務署の担当官と対面による本人確認を
 前提に、税務署からIDとパスワードの発行を受け、申告書の作成・送信ができるという制度です。つまり、わざ
 ざわざマイナンバーカードを取得しなくても電子申告ができるという途をつくったわけです。
 
ここで疑問なのは、このID・パスワード方式を税務署が認めたということは、①で必要なマイナンバーカードの
 取得は今後も必要ないのかとツッコミたくもなるのですが、この点一部報道でもマイナンバーカードが廃止されて、
 ID・パスワード方式に変更となるのだという誤解を生むような記事が見受けられましたが、それは違うと思いま
 す。
②の方式はマイナンバーカードを取得していない納税者が電子申告する際の利便性を一時的に優先させている
 だけであって、概ね3年を経過したのちこの方式を見直すとしています。つまりあくまで①のマイナンバーカード
 方式が原則であるという国税庁の姿勢に変更はないということらしいのです。
 
マイナンバーカード発行の際、市町村の担当者が本人確認をするが、②方式であっても税務署の担当官がやはり本
 人確認をするのであるから同じように手間をかけるのであればこの際、マイナンバーカードを取得した方がよいで
 しょう。

(国税庁HP:http://www.e-tax.nta.go.jp/kanbenka/index.htm

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 消費税軽減税率制度に対応する際に補助金が活用できます                                                                                                                      平成30年9月6日

 消費税軽減税率制度に対応する際に補助金が活用できます。

2019年10月1日から、消費税率が10%に引き上げられると同時に消費税の軽減税率制度が実施されます。

消費税軽減税率制度への対応を円滑に進めていくため、中小企業・小規模事業者等の方々に様々な施策が講じられています。

その中から複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改良などに要する経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」を紹介します。

複数税率対応として、2つの申請類型(A型、B型)があります。

◆A型:複数税率対応レジの導入支援

【概要】複数税率対応レジの新規導入や複数税率対応のための既存レジを改修するときに使える補助金

【補助率】・導入・改修費用:原則2/3

     ・導入費用が3万円未満の機器の機器を1台のみ導入の場合:3/4

     ・タブレット等の汎用機:1/2

【補助上限】レジ1台あたり20万円。さらに、新たに行う商品マスタの設定や機器設置に費用を要する場合は、

      1台あたり20万円を加算。複数台を導入する場合等は、1事業者あたり200万円を上限。

【補助対象】レジ本体、レジ付属機器(レシートプリンタ・キャッシュドロア・バーコードリーダー・

      クレジットカード決済端末・カスタマーディスプレイ等)、機器設置に要する費用(運搬費を含む)、

      商品マスタの設定費用

      ※リースの場合も対象

【申請手続】申請者自身による申請に加え、ホームページで公表されている一部のメーカー、販売店、ベンダーなど、

      代理申請協力店による申請も可能。

【申請のタイミング】機器を導入または改修して全ての支払いが完了した後、速やかに申請。

【対象期間】2016年3月29日から2019年9月30日

     (この期間に導入・改修し、支払が完了したレジ等が対象)

【交付申請受付期間】2019年12月16日


◆B型:受発注システムの改修等支援

【概要】電子的受発注システム(EDI/EOS等)を利用する事業者が、複数税率に対応するために必要となるシスム

    ムの改修・入替をするときに使える補助金

    指定事業者に改修等を依頼(B-1型)するか、事業者自身でパッケージ製品・サービスを購入・導入(B-2

    型)するかで2種類の申請区分にわかれる。

【補助率】2/3

【補助上限】(小売事業者等の)発注システムの場合:1000万円

      (卸売事業者等の)受注システムの場合:150万円、

       発注システム・受注システム両方の場合:1000万円

【補助対象】・電子的受発注データのフォーマットやコード等の改修

      ・現在利用している電子的受発注システムから複数税率に対応したシステムへの入替

      ・電子的発注システムに必須となる商品マスタ、発注・購買管理、受注管理機能のうち、複数税率対応に

       伴い必要となる改修・入替

【申請支援等】専門知識を必要とするシステム改修のため、申請者に代わって、あらかじめ事務局が指定したシステム

       ベンダー等が「代理申請」を行う。(B-2型)の場合は申請者自身による申請

【申請のタイミング】交付申請は、システム改修・入替前(B-2型は導入後に申請)

【対象期間】2019円3月29日から2019年9月30日

【交付申請受付期限】2019年6月28日(改修・入替に着手する前※B-2型を除く)

【交付報告受付期限】2019年12月16日(改修・入替が完了した後)    

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 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除                                                                                                                      平成30年7月13日号

7月2日に路線価が公表されました。愛知県の路線価は前年比1.5%上昇しました。

こうした上昇傾向の中、個人所有の土地等の譲渡を考えられるケースがあります。

土地等の譲渡の際に譲渡益が発生した場合、税金を納める必要があります。

今回、この税金が減少あるいは税金自体が発生しない特例についてご説明いたします。


参考:路線価…1㎡当たりの土地の評価額で相続、遺贈又は贈与により取得した財産に係る

       相続税及び贈与税の財産を評価する場合に適用

 1.特例のあらまし

   平成21年に取得した土地等を平成27年以降に譲渡

   平成22年に取得した土地等を平成28年以降に譲渡

  上記の場合、譲渡所得の金額から1,000万円を控除することができます。

  譲渡所得の金額が1,000万円に満たない場合はその譲渡所得の金額が控除額です。

   参考:課税長期譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除

 

 2.要件(1に記載した以外)

  ・取得時:親子、夫婦など特別な間柄にある者から取得した土地等ではないこと

        特別な間柄とは…

        生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊関係のある法人など相続、遺贈、贈与、

        交換、代物弁済及び所有権移転外リース取引により取得した土地でないこと

  ・譲渡時:譲渡した土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買換えた場合の課税の

       繰延べなど他の譲渡所得の特例を受けないこと


 3.特例を受けるための手続き

  ・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]

  ・譲渡した土地等が平成21年又は平成22年に取得されたものであることを明らかにする書類

   (例:土地等の登記事項証明書、土地等を取得時の売買契約書の写しなど)

  この特例を受ける旨記載した確定申告書に上記書類を添付して提出することが必要です。


 【結論】

  土地売却を考える場合、ぜひその土地の取得日を確認してみてください。

  上記の特例が適用される可能性があるかもしれません。


参照:国税庁タックスアンサー

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 大法人の電子申告義務化に伴い中小法人等にも適用される施策                                                                                                                    平成30年6月15日号

社会経済のICT(Information and Communication Technology)化が進んでいます。
そんな中、税務手続のICT化も図られることとなりました。
それは、平成30年度税制改正により創設された「電子情報処理組織による申告の特例」です。この特例により一定の法人が行う法人税等の申告は電子申告により提出しなければならなくなりました。(電子申告の義務化)

この義務化の対象となるのは以下の法人です。
【法人税及び地方法人税】
・内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
・相互会社、投資法人及び特定目的会社
【消費税及び地方消費税】
・法人税及び地方法人税の対象法人に加え、国及び地方公共団体

上記の通り、中小法人等は今回の義務化の対象外となっています。
しかし、義務化に伴う利便性向上のための各施策については適用対象となっています。

施策の主なものとしては
・勘定科目内訳明細書の記載内容の簡素化(提出情報等のスリム化)
・e-Tax送信容量の拡大(提出方法の拡充)
・法人税等の代表者及び経理責任者の自署押印制度廃止、記名押印制度に(認証手続の簡便化)
・e-Tax受付時間の拡大があります。

適用開始時期はそれぞれ異なっていますのでご注意下さい。

詳しくはこちらをご覧下さい。
国税庁e-TaxHP→「大法人の電子申告義務化の概要について」
        → 同上パンフレット

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 所得拡大促進税制の見直しについて                  平成30年6月1日号

【所得拡大促進税制とは?】
青色申告書を提出している法人(又は個人事業主)が、下記①~③の全ての要件を満たした場合に、
雇用者給与等支給増加額の10%を法人税額(又は所得税額)から控除(税額の10%(中小企業者等は
20%)が上限)できる制度です。

①給与等支給額について、基準事業年度(平成24年度)から5%(中小企業等は3%)以上
 増加していること
②給与等支給額の総額について、前事業年度以上であること
③平均給与等支給額について、前事業年度から2%(中小企業等は前事業年度を上回る)
 以上増加していること

以上が、平成29年度までの内容でした。
これが平成30年度税制改正で見直しとなり、諸条件については以下の通り変更されました。

<大企業の場合>
1⃣上記①、②の適用要件が廃止され、③の平均給与等支給額の要件について、増加割合が2%以上から
 3%以上に引き上げられました。
 また、平均給与等支給額の計算基礎となる継続雇用者の範囲について、「当期及び前期の全期間の
 各月において給与等の支給がある雇用者」とされました。

2⃣新たに設備投資額に関する要件が設けられ「国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上である
 こと」とされました。

3⃣控除税額の計算方法について、前年度の給与等支給額からの増加額の15%を控除するよう見直され
 ました。また、税額控除限度額も当期の法人税額の20%に引き上げられました。
 さらに教育訓練費の額が比較教育訓練費の額(前期及び前々期の教育訓練費の額の年平均額)から
 20%以上増加している法人については、控除率が15%から20%に引き上げとなり、人材投資に積
 極的な企業は優遇されることとなっています。

4⃣外形標準課税(付加価値割)について
 外形標準課税については、適用要件が法人税と同様の見直しが行われます。

<中小企業等の場合>
1⃣大企業と同じく、上記①、②の適用要件が廃止され、③の平均給与等支給額の要件について
 「比較平均給与等支給額から1.5%以上増加していること」とされました。

2⃣設備投資額に関する要件については、中小企業等は不要です。

3⃣控除税額の計算方法については、大企業と同様の見直しが行われました。
 また、人材投資に積極的な企業に対する控除率の引き上げについては以下の要件を満たす場合
 されました。
 ⑴平均給与等支給額が比較平均給与等支給額から2.5%以上増加していること
 ⑵次のいずれかの要件を満たすこと
  Ⅰ教育訓練費の額が前期の教育訓練費の額から10%以上増加していること
  Ⅱ事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、
   その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものと証明された場合

 以上の制度見直しについては、2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する各事業年度に
 おいて適用されます。
                                参考資料はコチラ→経済産業省HP

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    特例事業承継税制の概要について ~既存の制度と新制度の対比~                           平成30年5月18日号

【制度概要】
平成21年に創設された既存の事業承継税制により雇用を確保する等の趣旨から非上場株式等については一定の要件を満たすことで、自社株式を贈与した際に贈与税の納税猶予の適用を受けることができました。しかし、いったん納税猶予を受けた後に要件を満たさないことになった場合には納税猶予の要件から外れ、要件を外れた日から2ヶ月以内に猶予を受けていた贈与税の全額と利子税を納付しなければなりませんでした。
平成30年度税制改正では、この事業承継税制について、これまでの措置に加え、10年間の措置として、非上場株式等に係る贈与税の納税猶予について要件が大幅に緩和された特例措置が創設されました。


【今までの制度の概要】
(1)会社の要件
①中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に規定する中小企業者で経済産業大臣の認定を受けた会社
②非上場株式であること

(2)贈与者の要件
①会社の代表者であったこと
②贈与直前において贈与者と同族関係者で総株主等議決権数の50%超の議決権を保有していること
③贈与者が同族関係者内で筆頭株主であったこと
④贈与時に代表権を有していないこと

(3)受贈者の要件
①贈与時において20歳以上であること
②贈与時において会社の代表権を有していること
③贈与時において受贈者と同族関係者で総株主等議決権数の50%超の議決権を保有していること
④受贈者が同族関係者内で筆頭株主であること
⑤申告期限までに贈与により取得した株式の全てを有していること
⑥贈与の日まで引き続き3年以上にわたりその会社の役員であること


【要件の新旧対比】
①項目 ②今までの要件 ③特例の要件

(1)緩和された要件
①納税猶予の対象となる株式数:②発行済議決権株式数の3分の2→③全株
①贈与税の納税猶予から相続税の納税猶予に移行した場合の相続税の納税猶予額:②80%→③100%
①贈与者の要件:②会社の代表者であった者(1名のみ)→③複数株主
①受贈者の要件:②贈与時に会社の代表権を有する後継者(1名のみ)→③後継経営者3名まで(総議決権数の10%以上保有する者に限る)
①相続時精算課税の対象受贈者:②推定相続人等後継者のみ→③推定相続人等以外も適用可能

(2)撤廃された要件
①雇用確保要件:②一定期間における常時使用従業員数平均の80%を維持→③実質撤廃

(3)追加された要件
①特例承継計画の提出:②不要→③必要(提出期限:平成30年4月1日から5年間)
※「特例承継計画」には認定経営革新等支援機関の所見が必要となります。
①贈与期間:②なし→③特例承継計画提出から平成39年12月31日まで

(4)継続される要件
①受贈者:②③贈与時において20歳以上の者
     ②③贈与時において会社の代表権を有している者
     ②③贈与日まで引き続き3年以上にわたり会社の役員である者
①継続届出書の提出:②③贈与税又は相続税の申告期限後5年間は毎年、5年経過後は3年ごとに提出


【問い合わせ】
特例承継計画の策定・提出には認定経営革新等支援機関の所見の記載が必要となります。特例事業承継税制の活用をお考えの方は是非、認定経営革新等支援機関にご相談ください。

参考(国税庁HP):https://www.nta.go.jp/publication/pamph/jigyo-shokei/index.htm

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